日本寒蘭 CLASSIC |
【3ページ】 今回は「古典と人工交配の分離」と「自然種認定の素案」を述べようと思ったのですが・・・ 宮崎県からある情報が入ってきました。 日向寒蘭連合会、理事会で「今年(2017年)から、人工交配種を表記しなくてもかまわない、自然種と隔たりなく、単に寒蘭の花として審査、展示する」という耳を疑う内容が可決されたそうです。「本当ですか?」「他の人にも確認を取って下さい!」―――― 概ね本当のことらしいのです。 人工交配品種を自然種と偽って出品する人もいるなかで、正直に出品する人にとって不公平だから両者の差を無くすために決めた事だと言うのですが? どうせ、人工交配推進派の方々のゴリ押しだったのでしょう! それって―― 今まで人工交配品種を偽り自然種としてびくびくしながら出品していた人が、大手を振って自然種の中に紛れ込ませることができる。今までの捏造も無罪放免になる。人工交配品種も、種間交雑品種も・・・ 寒蘭の人工交配が頻繁に行われるようになって僅か20年しかたっていないのに、当時危惧された問題はおろか、予想すらされなかった問題まで露呈した。これから先どんな事態になるともしれない課題だらけの、常に議題に上らなければならない事柄をうやむやにして。こんなにも「隔たり」があるものを混同して・・・ 人工交配の案件を黙殺しようとしています。保存会としての使命を放棄するのでしょうか? システムに問題が起れば、その都度見直さなければなりません! 「ちょっと待った!」ということで――。 予定を変えて急きょ、重複するところがあっても「前回に述べた捏造などの事柄を補足して」自然種認定の必要性、伝統園芸としての日本寒蘭を品種改良寒蘭と分離する必要性を訴えていきたいと思います (※方法ではなく、必要性を補足・強調するためにこのページを使います) 自然種認定の必要性 寒蘭の人工交配の問題は「捏造」がなければもう少し簡単だったと思います。 展示会でも、「人工交配だったらこんな品種もできるんだ!」とか「自然種はやっぱり素朴だね!」とありのままに感じれば良いわけで。 「自然種を主体に収集したい」と思う人たちは自然種を求めればよい! 「人工交配種を育てたい」と思う方は、それを求めましょう―― このような単純な事だったでしょう。 「自然種か人工交配種か分からない、自己申告では信用できない!」 この事が何より問題なのです。 どうして捏造が無くならないのか? 「人のモラルの問題」これが一番厄介です。最も制御できないものがあるからです。 人工交配種を自然種と偽って発表することは収集家や業者としての名誉欲と、金銭欲を同時に満たすもので、麻薬的な魅力があるのでしょう。味をしめると止めることは困難です。そして、「この手の嘘」は一度ついてしまうと「なんちゃって!」では済まされないから、もっともらしく見せるために、嘘に嘘を重ねることになります。 私が、ここまで「捏造」のことを指摘し続ける理由を申しあげます。―― 「捏造まみれになっているのに、それをなあなあで済ましているような業界が人々の支持を得られるはずがないじゃないですか!」 人工交配種の捏造が無くならないという現実!――これが「自然種認定の必要性の論拠です」 その「自然種認定」の素案は次回述べることにします。 (※従来、日本寒蘭は自然種が前提だったので当然「自然種認定」という業界用語はありませんが、必要に迫られての表現です。) 伝統園芸の日本寒蘭と人工交配寒蘭を分離する事の必要性 私たちに夢を与えてくれましたか? ――お気に入りの品種があると生涯、愛培し続ける。伝統園芸としての日本寒蘭ですよ! 「○○」という品種が好きで入手し、大切に育てている方が・・・その「○○」を使った人工交配種を大量に作出されて、嬉しい人などいるのでしょうか? そして、人工交配推進派の方々は日本寒蘭の古典園芸文化の側面をまったく考慮に入れていません。 「待っていて下さい、ブルーの花を作りますから!」と言っていた交配業者さんがいらしたと聞きます。 できるかもしれませんよ? 遺伝子操作でもすれば! しかし、それは文化の薫りがしない。 このように、話ひとつ挙げても、古典の日本寒蘭と、品種改良の寒蘭では、かくも隔たりがあります。この理念、条件、前提の隔たりは埋めることができません。 スポーツにしても、ルールはすべての人に平等です。「この人はオーバーネットしても良いが、この人はダメ」などというのはありません。ルールが違えば当然、別な競技種目です。 不公平にも、全く違う条件のものを競わせているわけで、同列に扱えないものが混在しているのですから、両者を区別するのは当たり前の事だと思います。 2017年5月6日 1ページ「伝統園芸の価値観は古くて新しい?」の記事に戻る! 2ページ「日本寒蘭・人工交配の盲点」の記事に戻る! 3ページ「伝統園芸の日本寒蘭と人工交配寒蘭を分離することの必要性」 「自然種認定の必要性」 4ページ「自然種認定」「伝統園芸寒蘭と人工交配寒蘭の分離」 【3ページ】 |
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