このところ宮崎県を中心に流行っている〈青海刀事〉は、平成初期に阿波寒蘭会で登録されている〈南山〉です。
なので、以下は歴史に重みのある品種名〈南山〉として解説します。
〈南山〉
命名登録:平成7年 阿波寒蘭会 (228号)
「徳島県海部郡海南町皆の瀬」産。無銘時代をふくめると昭和の後期にすでに確認されていた「隠れ名花」です。かなり大型の青花。 「よごれの少ない広い花弁に、日ノ丸点を打つ白地の大舌」といった条件が整えば、この品種の完成形により近づきます。
舌点がバラけたり、時おり花姿がキマらないなど、出来、不出来の差が極端な品種ですが、実力を発揮したときの〈南山〉は見る人に鮮烈な印象を与えてきました。
過去にウチで開花したなかで比較的良かった2つの例と、阿波寒蘭会2003年会誌よりお借りした写真を「花の見本」として載せたので、参考にしてください。
先に「舌点がバラける」ことをまるで良くない事のように指摘したものの、私の趣味で言わせていただけるなら、3つ載せた「花の見本」のうち、2015年に咲いた「舌点がバラけ気味な」花が一番のお気に入りです。
いずれにしても、花の若いうちが見頃です。固く仕上がったときの舌は半巻きの舌を割に長く維持できますが、出来が悪いとあっけなく巻き込んでしまいます。
開花して数日を経過した後は、ほとんどの大舌品種に倣い、度々、舌を広げてあげることが花のクオリティを保つうえで有効な手段になるでしょう。
中成木に近い中木、2条立相当の株を載せました。葉切の古木が付いています。
※プラ寒蘭鉢5.0号植込み
|