ずいぶん後になって登録された〈大黒天〉(宮崎県蘭協会登録)と同種と思われます。よって、品種の解説は〈大黒天〉と同じにしました―― 花間が良く、光に透かしてみると純度の高さがわかる黒紅の中輪花。平肩咲きで、副弁は僅かに弧を描きます。花持ち良く、展示会にも使える品種です。
〈花の見本〉は古い資料に〈黒頭巾〉として載っている写真を使いました。めいっぱい花弁を張らせた状態を写した〈大黒天〉の画像と比べて、開ききらないタイミングで撮影された花は、三角咲きに見えます。
商品は中木と中成木で構成される3条の株です。花は赤花に適さない環境下で成長したため、発色が全くダメで茶系の色が入りました。これほど色の出やすい花を、こんなレベルでしか咲かせないのは残念でした。
それでも花を切らずに見てもらったのは、品種が間違っていない証明になる事と、出来の悪い花を知ることは、Maxの状態の花を見るより、ずっと参考になると思ったからです。
業界のカレンダーやポスターに見る、行き過ぎた「花見本」しか判断材料がないのも、少し問題なので。
下手な花を咲かせた、上手い言い訳になりました！
※プラ春蘭鉢5.0号植込み
