平肩に近い三角咲きの更紗チャボ花。これまで開花した例をまとめますと、青更紗に咲くのが普通で、この場合は弁先に紅を挿す事がほとんどです。
1980年代前期、業者としてのキャリアがスタートしたころ手掛けた品種なのでよく覚えています。仕入れに金額を掛け過ぎて失敗した苦い経験でもありました。初めて見た花が、出来の良い前面無点だったことを考えると、何度咲かせても有点にしかならない状況は、何か、キツネにつままれたような思いでした。
私の知る限り、無点に咲いたケースは、最初に見たときと、過去の写真集に載っている被写体の2例しかありません。とすると、20年に一回しか再現できない無点舌ならば、考慮するに及ばず、普通の有点とみるのが正解なのでしょう。
一番下に載せた「花の見本」は私の蘭舎での作。一つ上は宮崎県のセミプロが持ち回っていた写真で、過剰に花弁や舌に手を加えているところが見られます。無点に咲いている画像は必要性がないと思って使いませんでした。
商品は3条立相当の中木株。葉先の切除が目立ちますが、根の分量は十分です。
※プラ春蘭鉢5.5号植込み
