高知県宿毛市橋上町坂本西谷山の産。
登録株に付けられた品種名〈豊雪〉は、今では系統名として用いられることが一般的となっています。同系品種を幾つか伴う場合、全ての株を見分けて整理することなどあまりにも難しく仕方のない事なのでしょう。もやもやした感じが残る一方で、個体差といった部分の絶妙な違いが面白いなんて前向きな捉え方もできるわけです。
今回ご紹介した〈豊雪〉は葉肉が薄く、垂れ葉になりがちで、花は平均より小振りに咲くことが多く、白黄色にきまりやすい。私が勝手に〈薄葉豊雪〉と呼んでいる希少性の高い株です。葉色も薄く萌黄葉のような印象を受けるのではないでしょうか。三角咲中輪の素心系金鵄で、舌の奥や前面に色が出る性質を孕んでいるといったところは〈豊雪〉と一致します。
20年も前のことです「垂れ葉になる〈豊雪〉を探して欲しい」との話が、記憶では2件ありましたが、そのときの依頼者さんは〈薄葉豊雪〉を認識されていたんでしょうね。
当時を思い返して、いい加減にこの話を聞いていた自分のプロ意識の希薄さにガッカリです。
3条立相当の大きめな中木株を載せました。新芽が中成木サイズにまで作を上げそうです。去年までの灌水が不足していたのか、葉姿が立気味に出来てしまいました。
葉の地合いと薄い葉色はこの株の特徴として現れています。 葉先の切除が目立ち荒れ木といった状態ですが、根は上作だと思います。
今後、薄葉の特徴が強く出たりすると、水圧で葉が折れることがあるので柔らかな水遣りをしてください。
※プラ寒蘭鉢4.5号植込み
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