231023-2 大雄 (素心) SOLD OUT ありがとうございました
 
命名登録:昭和60年 薩摩寒蘭鹿児島県連合会(303号)
白妙系の厚葉で、肉厚花弁の品種。 資料には「どんじ葉の白妙」といったものを白妙から分離した・・・とあります。
日本寒蘭に、このような例は少なからず見られ、八咫烏系においては〈極楽鳥〉〈大黒殿〉、 ハライゴシ系統では〈肇国〉〈炎の舞〉などの厚葉、厚花が存在します。

「肉厚品種」と「スタンダードな品種」は優劣ではなく「強さ」に対し「たおやかさ」といった「持ち味の違い」と言えるでしょう。 ただ、同じ系統の中で前者は出現率が低いうえ繁殖力が乏しいので、希少品と位置付けられてきました。
それでも〈大雄〉の場合は登場して久しく、かなり普及した段階に至っています。

商品は中成木1条立。根は全て4枚葉の新木に付いていて、古木や古芋には1本もありません。根と葉の分量をみて、古木3枚葉の中ほどから切除することでバランスをとりました。
今シーズン花を咲かせても、株全体に及ぼす影響は考えなくてよさそうです。

※プラ春蘭鉢5.0号植込み




〈大雄〉を載せたついでに、2016年の寒蘭開花時期、偶然に見かけた素心の人工交配品種について報告したいと思います。
九州の業者さんの店舗で〈インパクトの強い素心〉を目の当たりにしました。それは〈大雄〉をひと周り大きくしたような花で、切り花の状態で水に浸してありました。
「掛け合わせですよね?」とたずねましたら店主は〈日本一系〉×〈大雄〉の交配種だと明かしてくれたのです。

『この時点で、品種の経歴は正確に伝わっています! しかし、流通段階で出自を改ざんされるなどして・・・例えば「白西平一ノ谷産の奇跡の素心花」とか「白妙系の超優良品種」などというように、作り話の説明で市場に出てしまったらどうなるのだろう?』
様々な思いが巡って胸がざわついたのを思い出します。

品種改良寒蘭の混入は、「伝統園芸としての日本寒蘭」のあり方を取り違えることで、さらに深刻なものとなります。

この品種改良された大型素心は、枯れてしまわない限り私たちの前に現われるでしょう。その時、どういった内容で発表されるのか、チェックし続けていく必要があると思います。

私にとっては自然種の〈大雄〉のほうがカワイイし、「自然種とその変異種のみで成り立っている」東洋ランの基本や日本寒蘭の定義から考えても「品種改良寒蘭」を 、同じ目線で見ることもないんですけどね。

人工交配の行為者方々は、寒蘭の「種の保存」など二の次、まるで無関心で・・・。日本寒蘭という園芸文化の様式すら理解できず、洋ランやチューリップと同じ感覚でとらえているのだから、どうしようもありません。