2005年7月の暮らし
7月31日(日)晴れ プロ
朝7時30分ころ、襖屋さんが襖を入れに来た。それで離れの建築は無事完成。
私は建具屋さんが襖も入れるのかと思っていたら、襖はまた別の専門職の人だったのだ。
「襖だけ作っていらっしゃるのですか?」と聞いたら、「掛け軸などもやっています」とのこと。
ずいぶんと大勢の方にお世話になって、家が完成したわけだ。
夜、お礼の宴のサワチ料理は、「丁寧」さんにお世話になった。お店だけでもてんてこ舞いの日曜日。無理かも知れないなあと思いつつお願いしてみたら、快く引き受けてくださったのだ。
これがもう、「芸術品」のサワチ料理!! みんな大喜びで舌鼓を打った。
母が亡くなって以来、法事が続いてサワチをいろいろなお店でお世話になったけれど、これまでのどことも違う。
本当に手がこんでいて、おいしくて、絶対これからも「丁寧」さんにお願いしたいと思った。
大工の社長さんはポレポレと同じ名前で、同じ7月生まれで、同じように釣りが大好き。
魚にはかなり舌がこえていると思うが、鱧(はも)をはじめ、新鮮な刺身に大喜びだった。
みんなで、「これぞプロの板さんの料理だ」と感激した。
今夜のキィーワードは「プロ」。
私たちが社長さんに「本当にいい家を建ててくださって、ありがとうございます」と感謝を述べると、社長さんは「いえ、当たり前のことをしただけです。お金をもらって家を建てる、プロですからね」とサラリとおっしゃった。
出来て当たり前、出来なければお金をいただくプロではない・・・この言葉を心に刻みつけようと思う。
今度の家は、広い軒下と縁側が特徴。軒にも柱にも銅版を巻いてくれた。
7月29日(金)晴れ ポレポレ新作
新築の離れがほぼ出来上がった。これからはポレポレと私の出番だ。
写真のテレビ台は、サイズを計ってピッタリおさまるように作ってもらった。キャスター付きなので、すごく軽い。
あとは洗面所の鏡、タオルなどの収納棚をお願いしている。
私は藍染めののれんを作る予定。洗面所に掛ける。
押し花教室Berryの藤井敬子先生が、「はーと・らいふ村」の木の家をテーマに押し花額を作ってくださっていると連絡があった。驚いたし感激した。
藤井敬子先生は、「村便り」ではフエさんの名で時々登場した人だ。
「野の手仕事仲間たち」でご紹介したいと言ったら、本名でかまいませんと言ってくださった。
8月のいい日を選んで、車庫の横に「野の手仕事ギャラリー」をオープンしたいと思っている。
ミニミニギャラリーだけど、「はーと・らいふ村10周年」の記念だ。
藤井先生の押し花額やみほちゃん、ばあばちゃんの服も、展示したいと思っている。
手仕事仲間たちも20人を越えた。これからも手仕事の好きな人なら誰でも出展してもらえるような、野の仲間たちとの交流を続けたい。
取っても木の枝なのが、ポレポレのオリジナル
7月26日(火)晴れ 土佐漆喰
帰宅したら4人の左官さんが、汗をポタポタしずくのように落としながら、壁を塗ってくれていた。
大工さん、左官さん、水道屋さん、タイル屋さん、塗装屋さん、電気屋さん、瓦屋さん、建具屋さん・・・いろいろな職人さんが出入りしているが、見ていて一番きつそうなのは左官さんだと思う。
10時と3時に冷たい飲み物を出すのだが、大工さんやほかの人は出すタイミングをそれほど気を遣わなくてもよかった。
でも、左官さんは違う。練ったら塗り終えるまで気が抜けない。何度も仕事の様子をのぞいて、手を止めてもよい時に「どうぞ」と出さなくては、かえって邪魔になってしまう。
体力と根気のいる仕事だけに、若い職人がほとんど入ってこないし、入ってもすぐに辞めてしまうのだそうだ。見ていてそうだろうなぁと納得。
でも、高知には「土佐漆喰」という全国に誇れる自然素材がある。もちろん今回も外壁は土佐漆喰で仕上げてもらった。
母屋もそうだが、夏でもクーラー無しで暮らせるのは、ひんやり涼しい土佐漆喰のおかげ。
土佐漆喰の良さを多くの人に知ってもらいたいので、左官さんにはますますがんばってほしいなぁと思う。
庭はおみなえしの季節
7月24日(日)晴れ 夏祭り
今年は夏祭りの当人(当番)だった。4戸で1チーム。
24戸あるから、夏祭りと秋祭りで3年に1回は必ず当人が回ってくる。
1戸当り500円の集金で、お酒、鯛、お寿司などを買い、神主さんや参詣の人々にふるまう。
前日にお宮の掃除をし、のぼりを立て、しめ縄を飾り、お神輿の準備をする。
慣れないのでお年寄りに聞くが、人によって言うことがバラバラで誰が正確か分らない。
9時30分までに祭壇にお供えするものを持って神社に行き、午後1時にお神輿を出す。
といっても担ぎ手がいないから、軽トラの荷台にくくりつけ、太鼓をたたきながら地域を一巡したらおしまい。あっけない。
1時30分から地域の人たちが集まって、神主さんが祈り、それぞれお神輿を拝んでお酒を飲んでお開きになる。
当人はそれからのぼりを降ろし、お神輿を片付け、残ったお酒や冷えたビールで「お疲れさま」の飲み会となる。
3時には終了だね、とポレポレと言って出かけたが、結局6時近くまで続き1日仕事となった。
お祭りはこのほかに、あと2つある。それぞれそれも当人が回ってくる。うちはそちらの方も9月に当たっていて、木札が回ってきた。
前回当人だったおばさんが、仕事を説明して渡してくれたがもう忘れてしまった。
4つの祭りにはそれぞれいわれがあると思うが、今ではもう誰も詳しいことは分らず、しきたりだけを受け継いでいる感じだ。
多分、昔は祭りが地域の娯楽であり、きつい農作業を休める大義名分であり、地域の人々の交流の場だったのだろうな。
最後のコミュニケーションの場だけは、今でも行き続けていることを感じた一日だった。
お神輿の前で何やら謡う男の人たち
7月21日(木)晴れ ベリー
ブラックベリーとブルーベリー、両方が熟れ出した。
ブルーベリーのほうは10日ほど前からぼちぼち熟れていて、すでに2回ほどジャムを作って食べた。
姿形も味も違うブルーベリーとブラックベリーだが、共通点がある。
両方とも実が赤くなって、そして真っ黒に変化したら収穫というところ。
(ね、どれを採ればいいか一目瞭然でしょ。)
不思議なことに(いや不思議じゃないのかも知れないが)、黒くなると実がとても大きくなる。
だからスイカなどと違って素人にも収穫のタイミングが分りやすく、私はブルーベリーの収穫が大好きだ。
採りながらつい1つ2つと食べてしまう。お客さんにも「どうぞ採って食べて」と勧めるが、たいがいの人がまずそうな顔をする。
ポレポレも初めて食べた時は、「ブルーベリーって、本当はあんまり甘くないんだね」と言っていた。
どうやらみんな、市販のブルーベリージャムの味に慣らされているみたい。
そりゃあ違いますよ。市販のジャムはまがいものをたっぷり入れて、こってり甘くしているんだもの。
我が家のブルーベリージャムは、皮ごと煮るのでもぞもぞと口に残るが、私は気にならない。
たくさん作ってシフォンケーキのソースにもするし、カスピ海ヨーグルトにも入れて食べている。
ブラックベリーとブルーベリー、どっちも黒い
7月18日(月)晴れ プロ
ポレポレが借りてきた本、「プロ論」はなかなかおもしろい。徳間書店発行、1600円。
これから転職を考えている人、田舎暮らしを考えている人、一読をおすすめします。
今日は「海の日」で、久々のオフ。新築中の家には、タイル屋さんと電気屋さんが来た。
タイル屋さんは初めての人だったが、やはりプロの仕事人。
少しもムダの無い動きで、休憩もとらず着々と仕事を進めていた。
3時に冷たい飲み物とスイカを持って行ったら、立ったまま片手でグラスをとってキューと飲み、またすぐ仕事開始。お昼もお弁当を食べる時しか、休んでいなかった。
柏島から来たというので、「ああ釣りバカの・・・」と言うとにっこりして「僕もエキストラで出ていました」。
それからにわかに話が盛り上がって、撮影裏話をいっぱい聞かせてもらった。
ついには「明日写真を持ってきます」とおっしゃったのだが、「残念! 私明日仕事なんです」。
ミーハーなので「記念に写真を撮らせてください」とデジカメを向けたのがこの一枚。
タイル屋さんだけでなく、大工さんも左官さんも・・・この2ヶ月うちで仕事をしてくれているプロの職人さんたちは、本当によく働く。
6時ごろ私が帰宅したときも、まだ働いている人もいて、「暑いのに本当にごくろうさまです」と言うと、「いやぁ、これが仕事ですからね」と真っ黒な顔で笑う。
本当にいい表情をしていると思う。
社会的地位の高い人の中には、とっても嫌な表情をしている人っているでしょう?
私は人を顔で判断するので、そういう人は信用できないと思っている。
職人さんの中には、あんまりそんな表情の人がいないような気がする。
7月11日(月)晴れ ウルトラマラソンと大原富枝賞
今日、ポレポレに「四万十ウルトラマラソン」の出場通知が来た。
抽選に受からなければ出場できないので、まずはスタートラインに立てることになったわけだ。
10月16日に向けて、また暑い過酷な練習が始まる。
今日はラジオの収録があり、今月1日から募集受付がスタートした「第14回大原富枝賞」の紹介をした。
小中学生の部は作文が原稿用紙5枚、高校生の部は随筆が10枚、小説が20枚、大学生と一般の部は随筆が10枚、小説が25枚だ。
「文章に親しむ県民づくり」がモットーなので、この機会にぜひ多くの人がチャレンジしてほしいと思う。
メイさん、にがりさん、ぜひいかが? 高知県在住、または出身者なら誰でもOKです。
最優秀は10万円と大原富枝全集、優秀は5万円、優良が3万円。受賞作は本にまとめられて、来春出版される予定。
雨の日は工房の入り口で退屈そうなモク。
7月9日(土)雨 NHKワールドカレンダー
ポレポレが自身の写真のホームページで、「いい知らせがありそうな予感」と6月22日の書き込みでもらしている。
これは彼にしたら本当に珍しい。私ならともかく、ポレポレは自分のいいことはほとんど言わない人なのだ。
その前夜、東京のNHKから電話があった。私が出てポレポレに代わったのだけど、NHKと聞いたので私も耳をすませていた。どうやら最終審査まで通過したらしい。
審査員は浅井慎平さんだ。
NHKが毎年出版するカレンダーの写真コンテストに、昨年に続いてポレポレが応募していた。
実は昨年も最終審査の20人の中に残って、NHKから問い合わせがあった。詳しい撮影状況を書く用紙が送られてきて、コメントも添えて速達で送った。
たくさんの応募がある中で、こんなチャンスは二度とないだろうと去年は思っていたので、ドキドキしながら結果を待った。
NHKのカレンダーはB4判で、外国にも送られるから日本語英語両方の説明をつけて、写真が13枚。12ヶ月プラス表紙だ。
結果は13枚には選ばれず、「努力賞」。ポレポレはすごく悔しそうで、私が「20枚に選ばれただけでもすごいこと」と慰めてもまったくダメだった。
今年もまた最終審査まで残ったのはうれしいが、去年に続いて「努力賞」だったら・・・。
毎日、NHKからの速達を待った。去年は6月26日には結果が来ていたのに、今年は7月に入っても来ない。
「遅いわねぇ。どうしたのかしら?」
「うちだけ配達し忘れているのじゃないの?この間、新聞の投書欄にそんな苦情が出ていたもの。ありえない話じゃないって」
「ねえ、NHKに問い合わせてみたら? えっ、届いてませんかーと言うかもしれない」
「あと一日待ってみよう。」
本当に毎日郵便屋さんの来るのを待っていた。
ついに、さすがのポレポレも問い合わせたらしい。
「金賞だった」「えっーーー、うっそー!」
「僕の耳が確かだったら、金賞って聞いた」
「銀賞じゃないでしょ?金賞だよね?まぎらわしいから、ゴールドですか、シルバーですかって聞き返したらよかったのに。で、金賞って何がもらえるの?」
「○○万円と副賞とある」
「ひぇー、副賞ってもしかしてカメラとか? まさかNHKが野菜の詰め合わせってことは無いよね??」
野菜のほか、海産物、米、お茶、空気清浄機・・・これまでの副賞が脳裏を走る。
話題がどんどんそれてしまいそうなので、肝心な話にもどるとしよう。
受賞作は「ステージ」というタイトルで、カレンダーの月は8月。四万十川沿いの棚田で、カマで草刈りをしている女性が写っている。この季節にはよくある風景だ。
そこに西陽が射し、緑のステージにスポットライトがあたっているように見える、美しい光景だ。
「この女の人は誰かしら? 自分の後ろ姿がNHKのカレンダーに載って、外国まで送られるなんて知ったら驚くでしょうね」
「十和村の名前だって全国に行くんだよ。村長さんにもカレンダーを送ろうか?」
さらに金賞作品は、来年度の作品募集のパンフレットにも使われるらしい。
なんだか一気に大変なことになって、もしかしたら「やっぱり努力賞の間違いでした」って言ってきそうな気もして、村便りに書くのも引き延ばしてしまった。
でも、本当にすごい。ポレポレおめでとう! 浅井慎平さんに感謝!!
去年も今年も主役は田んぼ(この写真は受賞作とは別)。ほかに雑誌「フォトコンテスト」で銅賞。佳作は下のHPで見られます。
http://www.riteway-jp.com/gallery/fotocon05/line_2.htm
2005年6月の暮らし
6月25日(土)晴れ 棟上げ
8時前から大工さんが集まりだして、総勢10名で一日がんばってくださった。
小さな家だが、それにしても基礎しか無かった所にレッカーでどんどん木材を上げ、見る見る間に形になっていくのはおもしろかった。
大勢のみなさんの昼食の準備で、午前中はほとんどキッチンに立ちっ放しだった私も、午後からはデジカメを持って見学する時間を持てた。
高い屋根の上を、身軽にひょいひょいと歩きまわる。高所恐怖症の人は大工にはなれない。
いまだに尺寸の世界だから、大工さん同士の会話を聞いてもちんぷんかんぷんのところもある。
明日は屋根屋さんとシロアリ屋さん。あさってからまた大工さんが入る。左官さんも今日下見に来ていた。
いろいろな職人さんの力を結集して、いい家を建てていただけそうだ。
それにしても、来る業者さん誰もが口を揃えて、「こんな材はもう今では手に入りませんよ」と、10年前に建てた母屋を感心するのには驚いた。
母屋を建ててくれた棟梁は、もう引退したと聞いた。
あの時、「10年たった頃一番良くなる家を建ててください」と言った私。
20年たったら、50年たったら・・・、今よりももっと良くなっているような気がする。
それは多分、年月をくぐり抜けたものだけが持つ味だ。
家も私たちとともに、日々を生きている。
西庭に新しく建てている家。母屋に向かって左側になる。
6月23日(木)雨 アクリルたわし
自分が指導したことに、はまってくれる人が増えるのは嬉しいものだ。
「草木染め」「投稿」に加えて、今ちょっとした「かぎ針編み」ブーム。
きっかけは7月の独居老人訪問のお土産を何にするか、からだった。
歌、手紙、ちぎり絵・・・といろいろ意見が出る中に、アクリルたわしが出たのだ。
ご存知と思うが、アクリル100%の毛糸で編んだたわしだと、洗剤をつけなくてもよく落ちる。
手も荒れず、川も汚さず、洗剤代も要らないので、いいことずくめ。
食器洗いはもちろん、洗面所でもお風呂洗いでも、どこでも使える。すぐ日常使えるお土産品として、手作りのアクリルたわしは名案だと思えた。
100円ショップで色とりどりの毛糸を買い、ついでにかぎ針も100円で買って、初心者にも編みやすい2種類のたわしを教えた。四角形とちょっと高度な丸形だ。
意外にも初めてかぎ針編みをするという子ばかり。糸のかけ方、針の持ち方から指導する時は、汗がどっと出て「だいじょうぶだろうか?」と先行きに不安を覚えた。
何しろ100個は準備しなければならない。
ところがこれが大ヒット。環境・ボランティア委員ではない子まで、「教えて!」「おもしろい!」すっかりはまった様子。
最近、私も「にこにこ市」や「あぐり窪川」で売っているアクリルたわしを見ると、ついじーと観察するようになった。
ネットでも探すと、あるわあるわ。アクリルたわしって、けっこう一般的だったんだ。
買うと1個100円する。編めば10分くらいで出来る。
6月18日(土)くもり 庭の花
梅雨入りしたが比較的雨は少なく、とても蒸し暑い。
ナス、プチトマト、きゅうり、ピーマンが毎日収穫でき、ズッキーニも小さな実をつけた。
枝豆もそろそろふくらんでくる頃だ。
西庭のスモモが熟れて、今年初収穫。「いくり」と「ソルダム」と「スモモ」は全部違った種類だと、昨日同僚におそわったばかり。うちのは皮も実も真っ赤に熟れる種類なんだけど。
ゆすら梅にはがっかりした。真っ白いアメ玉のような実をつけたので、これがルビーのような真っ赤になったら食べごろなんだわと楽しんで待っていた。
ちっとも赤くならない。ずーと白いままだ。白いゆすら梅なんてあるのだろうか?
紫陽花が3種類とも花盛り。春車菊、ルドベキア、フェンネル、セントジョーンズワート、昼咲き月見草、時計草、薔薇、ブルースター、ヤマボウシ、カモミール、ボックセージ、バーベナ2種、くちなし、ギボウシ、原種のあさがおが咲いている。
くちなしは香りがいいので切ってはあちこちに飾り、原種のあさがおは可憐で眺めていると飽きない。
原種を知ってからは、大きなあさがおには見向きもしなくなった。
ターシャ・テューダーではないが、花にははっきりと好みがあり、どっちかというと私は派手な花よりもひっそりと咲く花が好きなようだ。
昼前の収穫。
6月11日(土)雨 ステビア
予報通り朝起きたら雨だった。このまま梅雨入りだろうか。
芋のつるを植えたので、この雨で助かった。種類は例年通りの「土佐紅」だ。
一日中降りそうなので、久しぶりに古布のスカートでも縫おうかなと思っていたら、朝8時30分に「ごめんださい」とおじさん二人が訪ねて来た。
見知らぬ人たちだけど、職人さんかな? 建築中の家の打ち合わせだろうか? と思って出たら、「わしらあ、この前にこにこ市でお宅のステビアを買った者やけんど・・・」と話し出した。
2日ほど前、確かにステビアのパックを3つ出した。
ステビアは砂糖の300倍とも言われる甘味のハーブで、カロリーはゼロ。水溶性だから煮物にも使える。
おじさん二人は糖尿病で、砂糖を使いたくないのだそうだ。ついては、苗を譲ってもらえまいかと訪ねて来たと言う。
「いいですよ」とすぐ庭に出て、スコップで大きな株ごと掘って差し上げた。
「お役に立てれば嬉しいから、お金は入りません」と言うのに、1000円札を無理やりポーチの花鉢に置いて帰った。
ステビアはとてもいいハーブだということは知っていたが、糖尿病の患者さんのお役に立てるとは「なるほど」という感じ。
「雨やけん、さっそく帰って植える」と、おじさん二人はいそいそと帰っていった。
ポレポレは昨日から四万十市中央公民館ロピーで「3クラブ合同写真展」が始まり、その会場へ。
私もあとで、寄って観ようと思っている。
咲き続けるブルースター。何年か前に神戸の母にもらった、大好きな花だ。
6月6日(月)晴れ ヤマガラの巣
仕事から帰ったら、ベランダにヤマガラの巣があった。とうとう巣立ったんだ!
昨日も親鳥がしきりに、出てくるようにとうながしていた。
もう餌を運ばず、巣箱の前のエゴノキの枝からジージーと呼んでいるのだ。
「だいじょうぶ。さあ、飛んでごらん」とでも言っていたのかなぁ。
その瞬間を見たかったが、見逃してしまった。その代わりにすばらしい巣を見ることができた。
周りは緑の苔で覆われていて、手に持つとふわふわなのに驚いた。
ヒナのための柔らかなベッドそのものなのだ。
モクやハナの毛も、しっかり運ばれて役立っていた。う〜ん、感心してしまう。
誰に習ったわけでもないのに、必要なものをちゃんと集めて、最高にステキな巣を作ったんだ。
「いったい何回運んだんだろうね」と、ポレポレと話したことだった。
ふわふわなのがわかるかな?
6月4日(土)晴れ 庭
ほたるぶくろの花が咲いている。
普段はそんな花を植えていることを忘れているのだが、ちゃんと蛍の季節に咲いてくれるのがうれしい。
グミ、ビワ、きゅうりを収穫。スイカはもう幼児の頭くらいになったのもある。
なす、かぼちゃも、小さな実をたくさんつけている。
ヤマガラのヒナがかえり、チーチーとかわいい鳴き声がしている。親鳥はせっせと餌を運んでいる。何羽いるのかなぁ。気になる。
ほたるぶくろ
2005年5月の暮らし
5月25日(水)晴れ 土佐ジロー
鶏がこんなにお行儀が悪いとは知らなかった。
毎朝、決まった時間に餌とお水をやるのだが、私の足音が聞こえるやいなや、興奮してコッコッと鳴きながらバタバタ飛び廻る。
餌は小米と菜っ葉だ。玄米にしたお米は、さらにリッセンにかけて粒ぞろいだけを食用にする。その時小さなお米のかけらは、分けられて鶏の餌になるのだ。
そのお米を巣に入れたとたんに、ハイエナのようにたかる。そして、なぜだかどの鶏も必ず足で蹴散らかす。
まったく自分たちで食べるものを、蹴散らかしてどうするの!
ちゃんと食べて、早く卵を産んでちょうだい。
学校の廊下で土佐ジローの先生(F先生のことを我が家では呼んでいる)とすれ違った時、ニッと笑って「キリコ先生、ちょっとちょっと・・・」と呼んだ。
土佐ジローの先生と呼んでいるのは、去年から一袋100円で卵を職場で販売してくれているからだ。人気があって、すぐ売り切れる。
スタスタと歩く後ろを追いかけていったら、倉庫のダンボールの中にかわいいヒナがピーピー鳴いていた。
「わー、かわいいですねー。先生のところでかえったんですか!」
生後4日という土佐ジローのヒナは、本当に手のひらに乗せたいくらい小さくて、大きなF先生とのミスマッチが妙にうれしかった。
「うちでもかえしたいなぁー。よし、がんばるぞっ!」「がんばってね」
モクとハナにとって、鶏はとても気になる存在だ
5月22日(日)雨 電話二件
昨日は四万十市で、「初心者の草木染め教室」だった。
植物のいろいろな部分で染まることを紹介しようと、花は春菊、葉はオーデコロンミント、幹はビワ、根は茜、皮はタマネギを用意していった。
さらに、私が染めた色見本も、薔薇や黒豆、古代米など、たくさん展示して見てもらった。
やっぱりね。人気は薔薇の花びらで染めたものに集中。
「キャー、これがいいわ。今日薔薇で染められます?」
「いえ、薔薇はちょっと・・・花びらを集めるのに時間がかかるんです。今日は春菊で・・・」
結局、春菊やタマネギを選んだ人など一人もいなかったけど、いつものように和気あいあい。
今回初めて、ビデオでずーと撮影している人もいたりして、ちょっと緊張もした。
椿の花もきれいに染まります
5月18日(水)雨 私はおかま?
平成5年4月に入った○○局の保険は、5年ごとに生存保険金をもらえるものだった。
保険証書と印鑑と「本人を証明するもの」を持参してくださいというハガキがきて、運転免許証と保健証を持って受け取りに行った。身分を確認してもらうのに、たいがいこの2つで間に合ってきたからだ。
ところが、免許証には性別が記載されていないからダメだという。
じゃあ保健証は県が発行したもので性別もあるからと差し出したら、「以前から女だったということが分からない」と言われて、ひっくり返りそうになった。
「そ、そんなー。どう見ても女じゃありませんか。病院にでも行って証明書をもらわないと、お金を受け取れないんですか?」
「だから今現在女であるかどうかではなく、以前も女だったということが証明されないとダメなんです。お気持ちは分かりますが、決まりですから」
「保険に入る時は、そんなこと一言も言われなかったのに・・・」
結局お金を受け取ることができず、帰宅して夫に不満をぶちまけた。
「私のどこが男に見えるのよ! フン」
「仕方ないよ。新宿2丁目あたりに行ってみて、ニューハーフの人見て区別つくと思う? 戸籍だって変更できるんだから」
「・・・・」一番証明してくれそうな人まで、私の味方になってはくれない。
押入れをひっくり返してようやく古いパスポートを探し、「あったー、女と書いてある!」。
ようやく局員もOK。みなさん、期限切れのパスポートも置いておけば、思わぬところで役に立つかもしれませんよ。
玄関でお出迎えの花たち
5月17日(火)晴れ
エゴノキの白い花が、甘い香りを漂わせる季節になった。ブンタンも花盛りだ。
ヤマボウシのピンクの花も、だいぶ前から咲き続けている。
畑の玉葱とえんどう豆を、毎日収穫して食べている。豆ご飯がおいしい。
ツタンカーメンのえんどう豆も、ブロンズ色のさやをつけているが、これは食べようか種に残そうかと思案している。やっぱりちょっと食べてみたい。
麦は黄色く色づき、田植えも古代米を残すのみとなった。
ポレポレはこの季節は、田んぼの水管理が忙しい。水が少なくなると、あっという間に雑草がはびこるのだ。
だからどこの田んぼもたっぷりと水をため、陽射しにきらきらと水面を輝かせて美しい。
日本は「瑞穂の国」と呼ばれてきたように、水田の広がる風景はなんだかなつかしい。
飢えることも戦火におびえることもなく、つつましく平和に暮らせることを幸せに思う。
ポレポレが見つけた珍しいブルーのアマガエル
5月3日(火)晴れ ヤマガラの巣作り
1階と2階のベランダをつなぐ柱に、ポレポレが巣箱をつけたのは2月だったかしら。
庭にたくさんの小鳥たちがやって来るので、どの鳥が入るかと気になっていた。
今朝、6時。エゴノキにとまったヤマガラを見たポレポレが、
「あっ、巣作りを始めた。ほら、見て見て! 口に苔をくわえてるでしょ」。
リビングから覗いていると、確かにヤマガラが巣箱に入っていくのが見えた。
ヤマガラは、巣箱を一番よく利用するシジュウカラ科の留鳥で、西日本には多い鳥だ。
オレンジ色がきれいなので、私でも見分けがつく。でも、巣はまだ見たことがない。
「ヤマガラの巣は、とてもきれいだよ。巣立ったら取り出してみよう」とポレポレ。
すっごく楽しみ! 巣立ちはいつになるだろうか。
「巣作りの段階で環境が悪くなったら、放棄してしまうことだってあるから、騒がないようにしてくれる」
クギをさされてしまった。
職業柄か声の大きな私は、今日から極力小声で話す努力をしている。
ヤマガラの巣箱
2005年4月の暮らし
4月27日(水)晴れ 草木染めにはまった
今日は4時間も美術の授業があった。すべて草木染めの実習だったので、放課後は「疲れたー」という感じだった。
中学生も染めにこんなにはまるとは、改めて驚いている。
「そこまで凝らなくてもいいよ」と言うくらい、男子も女子も夢中になった。
輪ゴムでしぼりを入れる子のほか、糸で縫って複雑にしぼる子、ろうけつ染め、フィルムケースを利用した水玉、マグネットの水玉、割り箸、等々・・・
草木の材料は、玉葱、茜、ビワ、藍、桜、椿、つつじ。色とりどりで本当にきれいだ。
納得できないと染め直す子もいた。アイロンもピシッとかけて、作品の解説を書いて提出。
こんなに一生懸命作った作品を、低い評価なんかできない。
マグネットを利用して白く玉を抜いた男の子など、染める段階になってハタとある問題に気づき、「どうしょう」と困惑していた。
マグネットだから、鍋の底にくっつくのだ。がちゃと音を立てて沈んで、周りもみんな大笑い。
煮染めして取り出す時、クラスメートも知恵を出してみんなでいい方法を考えた。まず、マグネット付きハンカチを底にくっつけたまま、液のみを別の鍋に移す。
それから無事ハンカチを取り出して、マグネットをはずすとまた歓声をあげた。
帰宅してポレポレにその様子を話すと、「そんなのが生きた学習だよね。困難に直面した時、どんな方法で切り抜けるか、自分で考える力がつく」と言ってくれて、なんだか私までうれしくなった。
美術に限らず、授業はとても楽しい。教える方も学ぶ方も楽しい時間にしたい。
庭はストロベリーキャンドルの花盛り
4月18日(月)晴れ コシヒカリの田植え
早期コシヒカリの田植えをした。
2月26日に浸水し、3月14日に播種。ビニールを被せて、成長を待っていた苗だ。
とてもいい苗に育っていて、ポレポレが植えつけると風になびいてしっかり立っていた。
健康な苗作りは、いいお米を育てるための一番大事な基本だ。
普通の農家は、モミから消毒する。消毒というと聞こえがいいが、農薬だ。
でも、ポレポレはいちいち熱湯で消毒し、播く。農薬はどの過程でもいっさい使わない。
田んぼには化学肥料ではなく、発酵鶏糞や米糠、ワラなどを入れる。
肥料代は比べものにならないほど高くつくが、微生物や小動物が無数に生息し、いい土を造ってくれるのだ。
機械で植えてもやはり端植えは、手で一株ずつ植えなければならないから、田植えは人手を要する。
暑いのでお昼の休憩をゆっくりとり、夕方まで作業した。
「儲かる仕事じゃないけど、悪い仕事じゃないね」とポレポレ。
「そうね。土から食料を生み出し、それを自分たちで食べるのだから、人間らしい営みよね」。
丹精こめて育てたお米を、大切な人たちに食べてもらえるのもうれしい。
神戸の母も「やはり香りがよくて、甘みもある。」と言っていたと、ポレポレがちょっと得意げに話してくれた。
庭はまた新しい花が咲いた。藤、オランダスパラキシス、アメリカ花みずき。いい季節だ。
チューリップの中ではアンジェリケが一番好き
4月16日(土)晴れ 花便り
春というよりは、もう初夏。日中は半袖のTシャツでも汗ばむ。
野山は今頃が一番美しい。新芽のみずみずしい緑の濃淡に加えて、椿やつつじが色どりを添えている。ピンクの姫つつじに加えて、オレンジのおんつつじがそろそろ咲き始めた。
庭の畑では、大根とからし菜とえんどう豆の花が盛り。春菊はつぼみをふくらませている。
ツタンカーメンのえんどう豆も、濃い紫のさやをつけた。見るからにいわくありげな感じ。
種をとって、来年はもっといっぱい増やそう。
スイカ、プチトマト、ナス、かぼちゃ、ピーマン、地這いきゅうり・・・いろいろ植えた。
久しぶりに鍬を握って、右手にマメが出来た。「どっさり」と呼ばれている、土起こし用の鍬を1本、壊してしまった。ぼきっと根元が折れたのだ。
憎らしい茅(チガヤ)がはびこって大変だったので、これでもかとばかり派手に振り上げて打ち下ろしていた挙句にである。
チガヤとヨモギは、ついムキになってしまうくらい地下茎がすごい。取っても取ってもたくましく根を張って、絶えることがない勢いだ。
アンジェリケ、ボリジ、ストロベリーキャンドル、ナスターチウム、ピンクマーガレット、かりん、ぺリウィンクル、ゆすら梅、木蓮、花ずおう、ローリエの花が咲いている。モッコウバラももうすぐだ。
これはかりん、愛らしい色でしょ。